AIモードとは何か:2026年時点の定義と従来検索との違い
AIモードとは、検索結果ページ上でAIがその場で回答を組み立て、対話を続けながら情報を深掘りできる検索体験のことです。従来のように青いリンクの一覧を返すだけでなく、質問の意図を解釈し、必要な情報源を横断して要約や比較を提示します。利用者は一度の質問で終わらず、返ってきた回答に対してさらに問いを重ねることで、目的の情報へ段階的に近づいていきます。
日本では2025年9月から提供、現在は広く利用可能
日本語版のAIモードは2025年9月9日に段階的なロールアウトが始まり、2026年9月時点では日本語のGoogle検索で広く利用できる状態になっています。検索結果ページに表示される「AIモード」タブから切り替えて使う形式です。
ただし全アカウントで一律に表示されるわけではありません。18歳未満と判定されたアカウントや、一部のGoogle Workspaceアカウントでは表示されない場合があります。社内で検証する際、担当者の環境によって見え方が異なることがあるため、この点は事前に共有しておくと混乱を防げます。
2026年5月にGemini 3.5 Flashが全世界の標準モデルへ
2026年5月19日のGoogle I/Oで、Gemini 3.5 Flashが「全世界のすべての利用者に対するAIモードの新しいデフォルトモデル」として提供開始されました。特定の国や有料プランに限定された実験ではなく、標準の検索体験そのものが最新モデルで動いている点が2026年の大きな変化です(Google The Keyword 公式ブログ)。
【2026年9月更新】有料プランではモデルを選べるようになった
I/O以降、モデル周りの状況は動いています。デフォルトモデルと、選択可能なモデルを分けて理解する必要があります。
| モデル | 時期 | 位置づけ |
|---|---|---|
| Gemini 3.5 Flash | 2026年5月19日 | 全世界・全ユーザーのデフォルト |
| Gemini 3.7 Flash | 2026年8月14日 | Google AI Pro/Ultra加入者向けのモデル選択肢(英語のみ) |
| Gemini 3.8 Flash | 2026年9月 | 同じく加入者向けの選択肢。デフォルト化についてGoogleは言及していない |
有料プラン利用者は、AIモードの入力欄にある「+」アイコンからモデルを切り替えられます。無料利用者が見ている回答と、有料プランでモデルを選んだ利用者が見ている回答は、同じ質問でも異なる可能性があるということです。
自社の見え方を検証する際、この違いは無視できません。検証環境のプラン種別とモデル設定を記録しておかないと、前回との比較ができなくなります。
月間10億ユーザー、クエリは四半期ごとに倍増
普及の実態も明確です。Googleの発表によれば、AIモードは月間ユーザー数10億人を突破し、クエリ数は開始以来、四半期ごとに2倍以上のペースで増加し続けています。同時期にAI Overviewsは月間25億人規模とされており、接触量では依然としてAI Overviewsのほうが大きい点も押さえておくべきです。
つまりAIモードは「一部の先進的なユーザーが試す機能」ではないものの、「検索の主役が完全に移った」わけでもありません。両方を前提に考えるのが実態に近い捉え方です。
キーワード検索とAIモードの操作モデルの違い
従来のキーワード検索とAIモードは、入力の仕方と回答の受け取り方の両面で異なります。入力の形式を代表的な4種類で整理すると、次のようになります。
- 単語型:名詞を1〜2語だけ入れる。従来検索の中心的な使い方
- 短文型:単語に条件を足した数語の組み合わせ。従来検索でも一般的
- 長文型:背景や制約条件を含む一文以上の質問。AIモードで扱いやすい
- 会話型:前の回答を前提にした追加質問や指示。AIモードに固有の形式
従来検索では、利用者側が自分の疑問をキーワードへ翻訳し、返ってきたページ群を自分で読み比べて答えを組み立てる必要がありました。AIモードでは、その翻訳作業を省いて疑問をそのまま長文で投げられ、回答が返ったあとも文脈が保持されます。前提を毎回言い直さずにフォローアップできるため、一回の検索が単発の照会ではなく、連続した対話の流れとして進む点が本質的な違いです。
2026年に追加された主要機能:新検索ボックス・エージェント・生成UI

2026年5月19日のGoogle I/Oでは、AIモードの周辺機能がまとめて発表されました。ここでは公式に告知された内容を、入力・自動化・出力・パーソナライズの4系統に分けて整理します。
1. 入力:25年以上で最大の検索ボックス刷新
検索ボックスは25年以上で最大のアップデートを受け、AIが意図を予測してサジェストを提示する形に変わりました。加えて、テキストだけでなく画像・ファイル・動画・Chromeタブそのものを入力に使えるマルチモーダル入力に対応しています。展開はAIモードの提供国・言語で順次進む方式です。検索の入り口が変わることでキーワードの設計思想も揺れており、この点はAI検索で変わる検索キーワード構造と新しい攻略法も参考になります。
2. 自動化:情報エージェントとエージェント予約
- 検索エージェント(情報エージェント)…ブログ・ニュース・SNS投稿に加え、金融・ショッピング・スポーツのリアルタイム情報を24時間監視し、合成した更新を通知する。まずGoogle AI Pro/Ultra加入者向けの提供。
- エージェント予約…地域体験やサービス領域へ拡大。住宅修理・美容・ペットケアなど一部カテゴリでは、Googleが利用者の代理で店舗に電話する機能が米国で展開。
地域サービスまで自動化の対象が広がる流れは、ローカルSEOの動向で扱う店舗側の情報整備とも直結します。
3. 出力:生成UIとミニアプリ
Google AntigravityとGemini 3.5 Flashによるエージェント型コーディングが検索に統合され、質問内容に応じて対話型ビジュアルや表・グラフ・シミュレーションを含む生成UIを即座に組み立てられるようになりました。ダッシュボードやトラッカーのようなミニアプリがその場で生成される点が、従来の回答表示との大きな違いです。追加料金なしで提供されています。
4. パーソナライズ:Personal Intelligenceの拡大
AIモードのPersonal Intelligenceは約200の国と地域・98言語へ拡大し、サブスクリプションなしで利用できます。GmailやGoogleフォト(今後はGoogleカレンダー)を任意で接続する仕組みで、接続はユーザーの選択に委ねられています。詳細はGoogle The Keyword 公式ブログに記載されています。
【重要】5. AI OverviewsとAIモードの統合
機能追加と並んで、2026年に最も構造的な変化がこれです。GoogleはAI OverviewsとAIモードをひとつのAI検索体験として統合する方向へ進んでいます。
公式ブログの記述はこうです。
AI Overviewから直接フォローアップの質問ができ、そのままAIモードでの対話へ流れ込める
つまり入口がAI Overviews、深掘りがAIモードという動線です。検索結果でAI回答を目にしたユーザーが、追加質問をした時点でAIモードに入る。両者は別々の機能ではなく、ひと続きの体験として設計され直しています。
2026年8月から9月にかけては、この統合が実際のUIで進行しており、検索結果からAIモードへ誘導する導線が強化される動きが観測されています。AI Overviews側にも、動きのあるニュースに対するリンクカルーセル表示や、航空券価格の追跡・ホテル予約・株価チャートといった機能が追加されています。
サイト運営者にとっての含意は明確です。「AI Overviews対策」と「AIモード対策」を別々に考える必然性は薄れつつあります。どちらもGoogleの検索インデックスに接地し、サブクエリを展開して情報源を集める構造は共通しているためです。
AIモードの使いどころ:ユーザー行動の変化と業務での活用パターン

機能そのものより重要なのは、AIモードによって検索の前後にあった作業がどこまで検索の中に吸収されるかという点です。ここでは行動が変わる代表的な4類型に整理します。
1. 相談型・条件指定型クエリ:比較検討の下ごしらえを任せる
これまで複数のキーワードで検索し直しながら情報を突き合わせていた作業が、条件を並べた一文の相談に置き換わります。予算・納期・人数・制約事項など前提条件を最初にまとめて渡し、返ってきた回答に対して条件を足したり外したりしながら詰めていく進め方です。業務では、仕入先や外注先の一次選定、社内制度の調べもの、旅程や会場の候補出し、企画書の下敷きづくりなどが該当します。判断そのものを預けるのではなく、選択肢の洗い出しと論点整理までを任せ、最終判断は人が行うという分業が現実的です。
2. 画像・ファイル起点の調査:言葉にできない対象を扱う
名前がわからないもの、専門用語に落とし込めないものは、従来の検索では入り口に立てませんでした。手元の写真、資料ファイル、動画、開いているタブを起点に問いを立てられるようになると、現場での型番確認、設備や部品の状態確認、契約書や仕様書の内容確認、他社資料の要点把握といったタスクが検索の中で完結しやすくなります。営業やサポート、施工管理のように現物と向き合う職種ほど、この入口の変化は業務時間に直結します。
3. エージェントによる継続モニタリング:検索を定点観測に変える
従来の検索は思い出したときに自分で叩く単発の行為でした。継続監視を前提にすると、競合の発信、業界動向、価格や在庫、案件情報などを人が巡回する必要がなくなり、変化があったときに要約が届く形に変わります。週次の情報収集会議のための資料づくりや、担当者ごとに属人化していたウォッチ業務を仕組み側に寄せられるのが利点です。
4. 行動完了型タスクと、従来検索を使い分ける基準
予約や購入のように結果が行動で終わるタスクでは、候補探しから連絡までの間にあった手間が縮みます。一方で、すべてをAIモードに寄せるべきではありません。次のような場面では従来の検索結果を併用したほうが確実です。
- 公式サイトや一次情報そのものを開いて確認したいとき
- 法令・規約・料金など、原文の記述を根拠として残す必要があるとき
- 特定の1ページに最短でたどり着きたい指名検索のとき
- 速報性が高く、情報が数分単位で動いている事象を追うとき
調べる目的が理解や比較なら対話型、確認や到達が目的なら従来検索、という切り分けを持っておくと迷いません。
サイト運営者の対応:Search Consoleでの可視化と2026年版チェックリスト

AIモード時代の実務対応は、まず自サイトの露出をどこまで数値で確認できるかを把握するところから始まります。2026年6月3日、GoogleはSearch Consoleに生成AIパフォーマンスレポート(検索とDiscover向け)を導入し、AI OverviewsやAIモードといった生成AI機能内での自サイトの可視性を確認できるようにしました。当初は英国の一部サイト限定の提供でしたが、その後段階的に対象が拡大し、2026年8月には広く利用できる状態になっています。
【必読】このレポートで「見られないもの」を先に押さえる
公式の観測点が用意された意味は大きい一方で、期待しすぎると運用で足をすくわれます。何が取得でき、何が取得できないかを先に整理しておきます。
| 取得できる | 取得できない |
|---|---|
|
表示回数 ページ(表示されたURL) 国別の内訳 デバイス別(Discoverレポートを除く) 日付別の推移 |
クリックデータ 検索クエリ AI OverviewsとAIモードの分離(生成AI機能としてまとめて計上) |
つまりこのレポートでわかるのは「どのページが、どの国で、何回AI機能内に表示されたか」までです。「どんな質問で表示されたのか」も「そこから何クリック来たのか」もわかりません。Googleは今後の指標追加を検討中としていますが、現時点ではこの範囲です。
したがってレポート単体では施策の良し悪しを判断できません。指名検索数の推移やGA4の流入データと突き合わせて、はじめて意味を持つ数字だと考えてください。
なお2026年8月12日頃、表示回数・クリックデータに影響する不具合が発生しています。前年同月比などで大きな段差を見つけたときは、自サイト要因と決めつける前にこうした計測側の事情も確認するのが安全です。
【2026年6月追加】AIブロック機能:AI検索に載せない選択
同じ2026年6月3日、もうひとつ見落とせない機能が追加されました。自サイトのページをGoogleのAI検索結果に表示させるか、回答の根拠として使わせるかを、サイト運営者が選べる仕組みです。
これは従来のGoogle-Extended(robots.txtによる学習データ利用の制御)とは別物です。AIブロック機能が制御するのはAI回答内での表示と利用であり、学習への利用可否ではありません。
ただし使う前に理解しておくべきトレードオフがあります。
- オプトアウトすると:AI検索の回答内に表示されなくなり、AI検索経由のトラフィックも受けられなくなります
- 通常の検索順位には影響しません:ウェブ検索での評価は変わりません
「AIに引用されてもクリックが来ないなら載せたくない」という判断はあり得ます。一方で、AI回答内での言及が指名検索の増加につながる経路も存在します。目先のクリックだけで判断すると、ブランド接点そのものを失う可能性がある点は踏まえたうえで決めるべきです。
従来の検索パフォーマンスとの見方を切り分ける
重要なのは、生成AI機能内での露出と、通常の検索結果でのクリック獲得を同じ物差しで評価しないことです。運用上は次の観点で見方を分けると整理しやすくなります。
- 推移の方向:生成AI機能側と通常検索側で、それぞれ増減の傾向を別々に追う
- ページ単位:どのコンテンツが生成AI機能で拾われやすいかの傾向を見る
- デバイス・国:展開状況が地域で異なる前提で、母数の偏りを踏まえて解釈する
- Discover:検索とは配信文脈が違うため、同一指標で合算せず個別に読む
- 補完指標:クエリが取れない以上、指名検索数の推移を別途Search Consoleの通常レポートで追う
2026年に見直したい対応チェックリスト
- 相談型・条件指定型の問いに答えられるよう、比較軸や前提条件を本文内で明示しているか
- 一次情報としての価値(独自データ、実測、事例、更新日)がページ内で判別できる形になっているか
- 画像・表・仕様情報など、テキスト以外の入り口から参照されうる要素に説明を添えているか
- 更新頻度の高いテーマで、変更履歴や最終更新の記録を残しているか
- 指名検索やブランド接点の受け皿となるページが整備されているか
- 生成AIパフォーマンスレポートを定例のレポーティングに組み込み、月次で傾向を残しているか
- レポートにクリック・クエリが含まれないことを踏まえ、指名検索数やGA4と突き合わせる運用になっているか
- AIブロック機能について、使う/使わないの方針を社内で決めているか
- 検証時のアカウント種別(無料/AI Pro・Ultra)とモデル設定を記録しているか
断定を避けた運用姿勢を保つ
生成AI機能でどう扱われるかの内部的な判断基準は公開されていません。したがって施策と結果の関係は仮説として扱い、検証中である旨を社内資料にも明記しておくのが安全です。
数値が動いた際も、機能側の展開状況の変化なのか自サイト要因なのかを切り分ける前提で記録を残しておくと、後から判断を修正しやすくなります。2026年は8月18日から21日にスパムアップデートも実施されており、複数の変動要因が重なる時期がありました。変化が続く前提で観測点を用意し、四半期ごとに見立てを更新していく運用が現実的です。
【出典】Google「Google Search’s I/O 2026 updates: AI agents and more」(2026年5月19日)/Google Search Central Blog「生成AIパフォーマンスレポート」(2026年6月3日)/Search Engine Journal「Google Brings Gemini 3.7 Flash To AI Mode In Search」(2026年8月14日)/Search Engine Roundtable 2026年9月度ウェブマスターレポート。記事内容は2026年9月29日時点の情報にもとづきます。仕様・提供状況は変更される場合があるため、最新情報は公式発表をご確認ください。




